たまに、無性に読みたくなる辻仁成。
ぜんぜん見たくないときと、読みたいときの、
その振幅のでかさはなんだろうなぁと思う。
理屈はよくわからないけど、
今回は無性に読みたくなったとき。
図書館で借りてあった二冊を読みました。
ひとつは「99歳まで生きた赤ん坊」。
ひとりの男性の人生を、
生まれたときから亡くなるまで。
その一年ずつを記していった本でした。
ぼくは、まだ34年の時間しか知り得ませんが、
この本を手に、この先のこと、
そしてこれまでの時間のことを思いました。
きっと、いつかまた、
再読したいときがくるだろうな
そんな風に思えた一冊です。
そして、今回、再読した「代筆屋」。
手紙を代筆する「代筆屋」のような職業が
ほんとうにあるのか、どうかはさておき。
いろんな人の人生を
少し垣間見たような気になる一冊でした。
出版された頃に読んだ本で、
すこし間があったせいか、
内容を忘れている部分もあり、
けっこう楽しめました。
手紙を代筆した経験はありませんが、
職業柄、ぼくも、ときどき他人になって
挨拶文を考えたりします。
多いのが、企業の社長さんです。
書く前に、自分なりにその企業のことを調べたり、
その社長さんの発言を読んだりします。
そして、もし自分なら、この会社をどうしていきたいか。
具体的には、経営方針や社会の役にために、
どういう理念(思い)のもとで、活動していくべきかなど
を考えたりします。
不思議なことに、しっかり考えられ(たと思えるようなとき)、
社長が乗り移ったかのように、スラスラと書けたときは、
その社長さんからほめられたりもします。
純粋にうれしいです。
でも、その挨拶文を読んで「やっぱり自分で書いてみたい」という方が
たまにいらっしゃいます。
ぼくの仕事としては、最終的なカタチにならないパターンの仕事だけど、
そんな会社に出会ったりすると、もっとうれしくなります。
書いてないけど、いい仕事だったといえるようなもの。
ふしぎな仕事だけど、そんな仕事に、もっと出会いたいなぁと思います。